運動連鎖とは?スポーツのパフォーマンスと痛みに直結する「キネティックチェーン」の仕組み

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スポーツの動きや日常生活の動作を根本から変える概念が 「運動連鎖(キネティックチェーン)」 です。
近年はトレーニング指導やリハビリはもちろん、慢性痛の分析、パフォーマンス向上プログラムでも必須の考え方になっています。


■ 運動連鎖とは?——身体の動きは“鎖”のようにつながっている

運動連鎖(kinetic chain)とは、関節・筋肉・筋膜・神経など身体の各部位が、鎖のように連動して動作を生み出す仕組みのことです。

私たちは腕だけ、脚だけを動かしているように見えても、実際には
「足 → 骨盤 → 体幹 → 肩 → 腕」
というように複数の関節・筋群が協調して動いています。

歩く、走る、投げる、跳ぶ、持ち上げる——
あらゆる運動は運動連鎖の上に成り立っています。

この連鎖が滑らかであれば、

  • 効率よく力を出せる
  • パフォーマンスが上がる
  • ケガや痛みが生じにくい

というメリットがあります。
逆に、どこか1つの“鎖の輪”がうまく働かないと、別の部位が過剰に働いてしまい、動作エラーや痛みの原因になります。


■ OKCとCKC:運動連鎖には2つのタイプがある

運動連鎖は大きく OKC(オープン)CKC(クローズド) の2種類に分類できます。

● OKC(Open Kinetic Chain:開放運動連鎖)

  • 手足(末端)が自由に動く
  • 例:レッグエクステンション、アームカールなど
  • 特徴:特定の筋肉を重点的に鍛えたい時に有効

● CKC(Closed Kinetic Chain:閉鎖運動連鎖)

  • 末端が地面や器具に接して固定される
  • 例:スクワット、腕立て伏せ、懸垂
  • 特徴:実際のスポーツ動作に近く、全身の連動性を高める

リハビリ初期・筋力分離にはOKC、
パフォーマンス向上・安定性向上にはCKCが適しています。


■ なぜ運動連鎖が重要なのか?——パフォーマンスと痛みの根本に関わる

● ① 力の伝達効率が上がる

スポーツ動作では力は 「下半身 → 体幹 → 上肢」 の順に伝わります。
例えば投球動作では、股関節・体幹で生み出した力を腕で“最後に加速”してボールへと伝えます。

この連鎖が乱れると、肩や肘だけに負担が集中し、故障につながります。

● ② 体幹(コア)が“パワーの中継点”になる

運動連鎖の中心にあるのが 骨盤・体幹
コアが不安定だと力が抜けてしまい、

  • 球速が伸びない
  • ジャンプ力が上がらない
  • バランスが崩れやすい

といった問題が起きます。

● ③ 痛みの“本当の原因”を特定しやすい

肩が痛くても、原因が腰や股関節にある……というのは珍しくありません。
運動連鎖は痛みの治療・予防にも欠かせない考え方です。


■ 運動連鎖が乱れる原因は?

運動連鎖がうまく働かなくなる要因は、以下のようなものがあります。

  • 体幹の弱さ(特に腹圧の低下)
  • 股関節・胸椎などの可動域不足
  • 筋膜(ファシア)の滑走不良
  • 姿勢不良
  • 偏った筋トレ
  • 以前のケガによる代償動作


これらはすべて連動性の低下につながり、結果的に痛みやパフォーマンス低下を引き起こします。

まとめ

運動連鎖とは、身体全体が鎖のようにつながり合って動くシステムです。
単に筋力を鍛えるだけでは不十分で、
「どの関節がどの順番で、どれくらい協調して動くか」が動作の質を決定します。

✔ パフォーマンスアップ
✔ ケガの予防
✔ 慢性痛の改善
✔ 競技での再現性向上

すべてに直結する“身体の根本原理”と言っていいでしょう。


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